少年彩里水の不思議冒険譚 -不思議の国の入り口43-
43 キップとクップの提案
2人で照れながら言い合いをしていると、彩里水がふと気がついたように縄を手に取りながら言った。
「・・・でもさ、実際降りるときはなんかに結びつけないと。それに、相当固く結んどかないとやばいよね。」
「おう。もし何かにに結びつけて取れても、1本目と2本目の結び目が取れても高さ的に落ちたらケガでは済むまない可能性が高いしな。」
「・・・うん。結びつけるのは、ラープンさんがかかってるあれがいいかな?細くて心配ではあるけど、結ぶにはちょうどいいし、あまり遠いと長さが足りなくなるしね。」
彩里水はラープンがかけてある、窓のすぐ横に付けてあるフックを指さして言った。
だが、子供とは言え人が1~2人ぶら下がるには頼りない。
「うーん。あれだとあれ自体が壊れちゃいそうな気もするけどなー。」
白兎は顎に手をやり考えながら答える。
「うーん。・・・やっぱそうだよねー。」
2人は唸りながら部屋の中を見回す。
「せっかくキャンドーが縄を取ってきてくれて、思ったより早くここから脱出できそうだし、今日の明け方には脱出したいよな。」
「うん。」
2人が困っていることに気付いたキップとクップは1つの提案をする。
「あの、縄を固定させるの、ベドとドッベ、チェイスくんにお願いしてみるのはどうでしょうか?」
「・・・え?」
「ベッドとチェストですから重さもあるしー、ベドくんかドッベくんの脚に縄を巻き付けてその上乗ってもらったらかなり重さに耐えられると思うんですー。」
「おお!いや・・・でも、かなり遠いな。長さが足りなくなるかも。」
白兎は思いがけぬありがたい提案に喜ぶも、次の瞬間に浮かんだ懸念を口にする。
「でも、みんなに窓際まで移動してきてもらえば全く問題ありませんよ。」
「あ、そっか!みんな動けるんだもんね!」
彩里水が笑顔で言う。
「でも、みんなにおまえたちが脱出してるのバレちゃうんじゃない?ってかオレらが脱出しようとしてることもバレるけど、大丈夫かな?」
「・・・それなんですけど。」
キップとクップは覚悟を決めたように2人で顔を見合わせ話し出す。
「僕ら、ここの皆さんには大変お世話になってきました。」
「ここの皆さんにはぁ、僕らがここを出たいことも何度もお伝えしてきていますー。」
「その上で、きっと僕らがここを出ることを応援してくれる気がするんです。」
「だからぁ、皆さんにきちんとお話ししてぇ、お別れをしてぇ、その上で協力してくださるか聞いてみようかとー。」
キップとクップは代わる代わる言う。
「あ、皆さんには、まず僕らだけが脱出しようとしていると伝えてみます。万が一反対されたとしても彩里水さんと白兎さんが脱走を試みようとしていることは隠します。」
「その上でぇ、もし皆さんが協力的であった場合にだけ、お2人がここから脱出しようとしてることや作戦に協力してもらうことを説明しようと思いますー。」
「そんな。そんなの大丈夫なの?もし反対されたら君たちの身が危険ってことはない?」
彩里水は2人を心配した。
「きっと大丈夫です。元々伝えていたことでもありますし。皆さん僕たちが本気だと思ったことはないと思うんですが、言ってみようと思うんです。」
「そ、それに僕たちー・・・。」
キップとクップは今度は気まずそうに顔を見合わせる。
「僕たちラープンさんに城の外のこと、聞けなかったんです。城の外のことは口外すると聞いた方も答えた方もそれが万が一女王様に知られたら厳罰なんです。」
「ラープンさんは僕たちの気持ちをいつもとてもわかってくださいますがぁ、僕たちのことを心配して決して軽々しく口にはなさいませんー。本当に気分がいいときだけぇ、罰にならないようなほんの少しのことだけお話しくださいますー。」
「そうなんです。キャンドーさんはみんなのために大変活躍してくださったのに僕らだけ・・・。」
彩里水はキップとカップの頭を撫でるように、飲み口を撫でながら優しく言った。
「そんなの気にしなくていいんだよ。君らはオレらのために十分なぐらいやってくれてるじゃん。」
「そうだぞ。情報もいっぱいくれてるし、十分すぎるぐらいだよ。だから気にしなくていいし無茶もしなくていい。」
白兎もぶっきらぼうに2人を慰める。
「いえ、やります!やらせて下さい!」
「はいー。それにこれは僕たちのためでもあるんですからー。」
彩里水と白兎は顔を見合わせる。
「オレは、やってくれるならありがたいよ。やっぱりあのフックだけじゃ死んじゃいそうだしね。」
「・・・うん、まあ確かに。」
キップとクップの表情が晴れる。
「じゃあ!」
「うん、よろしく!」
彩里水と白兎は声を揃えて言った。
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