少年彩里水の不思議冒険譚 -不思議の国の入り口11-


11 君たちのことを教えてくれたらね


「じゃあまず、君たち自身の事を教えてくれる?」


相変わらずニヤニヤ笑いながら禅と呼ばれた双子の片割れは言った。


「君たちは純人型に見えるけど、それであってる?それだと年齢は10歳ぐらいなのかなあ?」


「・・・ジュンジンガタ?えっとおー、オレは9歳です。今年で10歳になります!」


初めに彩里水がなんのためらいもなく答える。


「オレも同じです。・・・ジュンジンガタってどういう意味なんですか?」


白兎が質問すると今までニヤニヤと笑っていた双子は顔色を変え2人で目配せをした。


「・・・ふううん。君たちは何も知らないんだ?」


禅は歌いながら話すのを止め、双子は舐めるように2人を上から下までジロジロと見る。

「純人型も純獣型も純花型も?」


「ジュンジュウ・・・?」


聞き慣れない言葉に彩里水が不思議そうに聞き返すと、双子は再び目配せをした後、堰を切ったように笑い始める。


「ハハハッ。ハハハハハハッ。そうかそうか、何も知らないんだね。」


「っな!な・・・な・・・。」


突然笑われて真っ赤になった彩里水は、何か言い返したいが言葉が出てこない。

「いや、ごめんごめん。」


そう言うと先程までの含みのある笑いに戻った双子は代わる代わる話し出す。


「・・・別に知らなくてもいいんだよ。純人型って言うのは、つまり君たちや僕たちのように人の形をした生き物って言うことなんだけど、意味がわかるかな?」


「君たちは、オールワン遊園地からここに来るまで自分たち以外の誰かに出会った?」


「オレが会ったのはこいつだけです。」


白兎は双子を怪しいと思いつつも彩里水を指さしながら答える。

すると、意外そうな顔で双子が白兎に尋ねる。


「へえ、君たちは元々知り合いじゃなくてここで初めて会ったの?」


「・・・はい。」


双子は彩里水に視線を移し尋ねる。


「・・・君は?」


「誰にも会わなかった?」


「話したり見かけてもいない?」


「あ、オレは・・・。」



――ここ、って穴に落ちた後でいいのかな?遊園地で見かけた白ウサギの着ぐるみは・・・違うよね?



穴に落ちた後の話だけにしようと彩里水は決めた。


「えーっと、ドアノブ・・・と話しました。あと白ウサギを見かけて・・・。その後、白兎に会った後にあなたたちに会いました。」


今度は彩里水が白兎の方をちらっと見ながら答える。


「・・・ドアノブと話したんだね?」


「それは何処で?」


代わる代わる聞いてくる双子を交互に見ながら彩里水は答える。


「えーっと、オレ、すごく長い穴を落ちてきたんですが、その穴の底?って言うか天井?って言うか・・・。とにかくそこにあった小さな扉についてるドアノブです。」


白兎はこの怪しげな双子を信用していろいろ話していいのか、彩里水を止めるべきか迷ったが、道中どんな生き物にも会わなかったこと、そして同じ様な景色の森をずっと歩いてきたことを考えると怪しくても他に手段がないような気がして、ともかくオールワン遊園地についてのヒントになるようなことだけでも聞き出すまでは粘ってみることに決めた。


つづく

妄想列島

オリジナル小説。 『少年彩里水(アリス)の不思議冒険譚』毎日配信中。

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