少年彩里水の不思議冒険譚 -不思議の国の入り口22-

22 食べ物の効果



そうして2人はいろいろな食べ方をしてみることにした。


リンゴを食べないで梨を食べるとどうなるかも検証したかったがそれはもうできないので、元に戻ったと思われる彩里水が梨を食べてみると鼻はやはり1cm程度低くなった。


そしてもう一口食べるともう1cm程度低くなり、彩里水の鼻はほとんど無い状態になった。


それを見た白兎が堪えきれずブッと吹き出すと、またスペードの3の衛兵が鉄格子に近づいてきたので、2人はまたすぐに顔を見合わせて「シーッ。」とお互いを宥めつつ、また検証を繰り返した。


その結果、やはりリンゴは一口食べると鼻が1cm程度伸び、梨を食べると1cm程度縮むということと、どちらかがどちらかに影響を与えているというよりは、リンゴと梨は単体でその作用があると考えた方が良さそうだという結論になった。


結局、2人はリンゴと梨を同じ回数かじったので、顔は元通りになっていた。


「・・・この結果を踏まえると、だな。」


白兎が仰々しく言うと、彩里水は口を挟む。


「てかさー、白兎、おまえって頭いいんだなあ。」


「・・・え?」


不意に彩里水に褒められ、白兎は少し照れる。


「え?な、なんだよ、急に。」


「いや、オレ1人だったらこんな検証とか絶対しないし、してもこんなにちゃんといろんなことわかったかなって。しかも、理科の実験みたいで楽しかったし、白兎と一緒だから楽しめたなって。」


「え?そうか?いや、でも、そうだな。オレも彩里水と一緒だったから・・・かも。」


と最後の方は照れて小声になっていく白兎だったが、心の中では、指が伸びて変な風になってしまったことを忘れるくらい楽しく過ごせたことは彩里水のお陰で、自分はきっと彩里水が自分に思ってる以上に彩里水の存在に助けられていると思っていた。


「んで?結果を踏まえると?」


照れている白兎の様子には全く気付いていない様子の彩里水は、先程白兎が言いかけたところへ話を戻す。


「あ、そうそう、その結果を踏まえると、このオレの変になっちゃった指を戻せる食べ物がありそうだってこと。それから、どの食べ物も一口で1cm伸びるか縮むかするんじゃないかってことだ。それと、オレが水を飲んだ回数は多分3~4回だったし3~4cmぐらい指が伸びてるから、その分何かを飲むか食べるかすれば良さそうってこと。」


「ほおーう。」


彩里水はそれっぽく返事をする。


「そして・・・。」


神妙な面持ちで言いかける白兎に彩里水もつられて神妙な顔になる。


「うん。」


「問題は、パンだよな。」


「う、うん。そうだね。」


2人は気付かぬうちにだんだんと顔が近づいていく。


「・・・ど、どっちが食べる?」


「そ、そりゃあ、やっぱり白兎じゃない?」


「な、なんでだよ・・・。」


近づいた顔を引き戻し、白兎から目を逸らしながら彩里水は蕩々と説明する。


「だってさ、白兎の指を戻すかもしれない可能性があるのは今のところこのパンだけだよ。それに、オレはリンゴと梨を先に食べたんだよ?そしたら白兎は水とパンを先に食べたら2人とも公平でしょ?」


「・・・ぐ。た、確かに・・・。」


はあ、と一息大きなため息を吐くと、白兎は諦めたように言った。


「・・・わかった。オレが先にパンを食べるよ。」


「うん、ま、まずは舐めてみたら?」


「お、おう。そうだな。」


つづく

妄想列島

オリジナル小説。 『少年彩里水(アリス)の不思議冒険譚』毎日配信中。

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