少年彩里水の不思議冒険譚 -不思議の国の入り口30-
30 塔脱出作戦!
「よし、じゃあようやく作戦会議だな。まず、縄をゲットしてその窓から逃げようと思ってるんだけど、その前に、その窓から逃げてるところを誰かに見られたら逃げ場もないし割とどうしようもないよな。だから、この塔の人目について聞きたいんだけど。」
「あ、この塔は城の中心部の中では端に位置しますが、この城中心部の周り四方をグルリと従者居住棟が囲んでいるんです。先程夜間も昼間と変わらず人目は多いと言いましたが、それでも多くの生き物があまり活動していない時間帯というのはあります。それは夜から昼に変わる明け方の時間です。ですから、この塔の壁を下りるならその時間帯が1番ベストかと。」
「・・・なるほど。じゃあそうしよう。で、無事下まで誰にも見つからず下りれたとしたら?従業員棟があったりするならそういう人に紛れれば逃げられたりするの?オレらみたいな純人型が歩いてると目立ったりする?」
「んーと、そうですねー。パッと見だけでは純人型と判断はしかねますー。ですがぁ、パッと見でも純人型に見える方自体が珍しいのでー、従業員に紛れたりするのは難しいかもですねえ。できれば簡単にでもミックスとわかるようにしたいところですー。」
「ミックスって思われれば従業員に紛れられる?」
「はいー。それは難しくない気がしますー。」
クップに言われ、彩里水と白兎は目を輝かせ顔を見合わせる。
「んで、その後は?オレらが従業員に紛れればそのまま門も抜けてあのいろんな人がいた場所に出られんの?」
「えーっと・・・。」
キップとクップは顔を見合わせた後、気まずそうに彩里水と白兎を上目に見上げる。
「実は、僕らが言ったことがあるのはお城の従業員棟までなんです。」
「はいー。そこから先には行ったことがないし、出てはいけないことになっているんですー。」
「城の従業員の多くが基本的に出入りが自由なのは従業員棟までで、その四方をまたグルリと囲むように塀があり、門がその四辺の真ん中に1つずつあるんです。そこから先はお城に従事していない一般の方も通行証さえあれば基本的に誰でも自由に入れる庭園になっていますが、まだお城の敷地内なんです。」
「はいー。そちらは行商人もたくさんいて許可を得ればワゴンなどでお店を開くこともできますし、小さな子供連れの親子なんかでいつも賑わっているそうですー。」
彩里水と白兎はここに連れてこられたときに竜の背に乗って降り立った、あの様々な形態の人たちが行き交う活気ある美しい庭園を思い出していた。
「なるほど。でもそこもまだお城の敷地内なんだ?」
「はい。僕らも従業員棟の先のことは聞いた話でしか知らなくて。ラープンさんだけはその先まで行ったことがあるんです。詳しい話を聞いてもあまり教えてはくださらないですが、気分がいいときには外の世界の話を少しだけしてくださいます。」
「そうなんですー。その話を聞いてぇ、僕らも外の世界に憧れて出てみたくてー。でも、僕らみたいな下級の従業員は一生出られないんだって諦めてましたぁ・・・。」
つづく
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