少年彩里水の不思議冒険譚 -不思議の国の入り口34-
34 三日月の上から・・・
「でもそうすると見張りがちょっと気にならない?空を見回ってるならこの塔は結構目立って目につきそう。」
彩里水が心配するとクップは答える。
「城外に対する見張りは基本的に城外しか見ていないはずですのでぇ、そこは気にしなくても本当に大丈夫だと思いますー。そして、それも含めて夜明けであればぁ、夜目の利く者から昼間活動するものに交代の時間でもあるので隙も多く1番適した時間ですー。」
「そっか。じゃあ、まずは縄を回収する。次はなるべく夜明けの時間帯に塔を下りる。そしてミックスのふりをして従業員棟に紛れ込み庭園まで出る。って感じだね。」
彩里水はもう一度作戦を確認する。
「そうだな!塔から無事下りられさえすればここから脱出するのはそこまで難しいことではなさそうだよな。」
彩里水と白兎は顔を見合わせてニッと笑う。
「よし!じゃあみんなで円陣組もう!」
彩里水と白兎は片方ずつの手をキップとクップに重ねてなんとなく円形になる。
そして小声で彩里水が気合いを入れる。
「塔脱出作戦開始!」
白兎とキップとクップは小声で
「おー!」
と返した。
その頃、無数の星が美しく瞬く夜空では、夜の世界を生きる生物たちがその生を謳歌していた。
犬の顔をした三日月は、何やら迷惑そうな顔をしている。
三日月の鼻先に腰を下ろす者がいたのだ。
弧を描く三日月の内側で、足を組みながら双眼鏡で何やら熱心に見ているのはジョーカーだった。
「ふふーん♪なーんかあの2人面白そうなんだよねー。それにあの2人、こっち側の人間じゃないよね、多分。おそらくあの・・・。」
ジョーカーは上機嫌で呟きながら、双眼鏡から2人を観察するのだった。
つづく
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