少年彩里水の不思議冒険譚 -不思議の国の入り口35-

35 型と半人



「おい彩里水、ここにはトイレがないよな?」


「あ、そう言えば。」


「オレなんとなくわかってきたんだけど、半人半獣とか半人半物にもいろんな種類があって、人型、獣型、物型って別れてるのかなって気がしてるんだ。」


「・・・うん?」


彩里水はトイレと何の関係があるのか要領を得ないという感じで先を促すように返事をする。


「つまりさ、半人半猫だとするじゃん?で、言葉通り、人型ってのは形が人。人の形で猫の特徴がちらほら出てるみたいな。二足方向で、でも耳が猫の形、とか猫みたいにしなやかで高いジャンプ力を持ってるとか。」


「ほう。」


「んで、獣型は形が獣。猫なら猫の形。猫だけど喋るとか、考えるとか。」


「ほうほう。」


「でもって、半人半物だったら、例えばキップとクップみたいな半人半コップとかラープンさんみたいな半人半ランプとか。」


「うん。」


「これは物型で、形は物だけど考えて喋ってるし動きもする。」


「おお。・・・でも半人半物で人型だとどうなっちゃうの?」


相槌を打つだけだった彩里水はここで疑問を口にする。


「人の形で物みたいに動かないとか?だとしたら怖いんだけど。」


「いや、そうじゃなくてさ、半人半ランプの物型ならラープンさんで、人型なら見た目は人だけど例えばスイッチを押したら手が光るとか、頭を光らせることができるとかさ。」


「あ、なるほど。」


「まあオレも見たことがあるわけじゃないからわかんないけど、そんな感じかなと思うんだよ。んでさ、見たところあのトランプの衛兵たちは、人型だろ?オレの予想ではトランプみたいに重なったりできんじゃないかと思ってる。」


「へー。なんの役にも立たなそうだけどね。」


ドヤ顔で言う白兎に彩里水は無表情に突っ込む。


「コ、コンパクトになって良いだろーが。」


「そーかもねー。」


「・・・。でさ、物型の場合は多くの場合が人間のように思考し話すんじゃないかと思うんだ。けど、逆に人型の場合は形が人だけど考えたりはあまりしないで、命令されたことを単調にしたりするんじゃないかって思ったんだ。」


「ほう?」


「うん。つまり、あのトランプたちは、何かオレらの世界でコンピューターにプログラミングするように命令がインプットされている。例えばアンドロイドみたいにプログラムが印譜とされてそれを実行する。人型な分、割と繊細な動作が可能。とか。例えば、“部屋の中で大きな音が出たら内部をよく観察する”とか、“部屋の外に出ようとしたら捕まえて捉える”とかさ。さっきからあの3たちは様子を見に来ては何もないのを確認してただ戻るだろ?オレらに黙ってろとか注意したりとかはしないで。」


「うん。そう言われればそうだ。・・・あ、でも、3はそうだけどトランプのジャックは喋ってたよね?」


「そうそう、オレはトランプのやつらは数字にも意味があるんじゃないかと思ってる。彩里水さ、庭園に入る時のトランプの兵士たちの数字、覚えてる?」


「うん?あんま覚えてない。数字なんかついてたっけ。」


「うん。庭園の門を守る兵士たちは全部5だったんだ。そんで、それよりもう一歩先のゾーンに入るときの数字は・・・。」


「6だった!」


白兎が言いかけると思い出した彩里水が勢いよく言う。


「そう、全部数字は6だった。だから、数字が上がる毎に階級とか能力が上がってるんじゃないかって思ったんだ。・・・そういう感じで、トランプに限らず、人型の半人は思考力や判断力みたいに“見た目にはあまりわからない差”がありそうかなって。あくまでこれはオレの勝手な想像だけどね。」


「そっかー、だからジャックは喋ることができたのかもってことか。」


「そういうこと!」


つづく

妄想列島

オリジナル小説。 『少年彩里水(アリス)の不思議冒険譚』毎日配信中。

0コメント

  • 1000 / 1000