少年彩里水の不思議冒険譚 -不思議の国の入り口41-
41 塔脱出作戦!縄奪取編
「ところで、縄がこのままなのはまずいのでは?」
みんなが落ち着いた様子になった頃合いを見て、キップがおずおずと申し出る。
「あ、そっか、やばい。早く巻き取らないと。」
「そーっと、そーっと。」
彩里水と白兎で残りの縄を死角からこっそり巻き取っても、トランプの3たちは気付くことなく定位置にいた。
「よし、おっけー!」
「よし!じゃあ、もう1本もいけそうだな。キャンドーさん、もう1度お願いします!」
彩里水はキャンドーに向かって言った。
「お任せくださいー!あ、それと、私のことはキャンドーと呼んでくださいねっ。」
「うん、オレのことも彩里水って呼んで!」
「オレも。白兎でいいから。」
「はい!では、行って参ります。」
「うん、気をつけて!」
キャンドーが鉄格子に近づくと、今度は彩里水と白兎はトランプの3たちを惹きつけるためにトランプの3から見える位置に移動する。キップとクップは鉄格子のそばからトランプの3たちの様子を見張る。
1本目の縄同様、トランプの3たちは燭台の動きには目もくれず、彩里水と白兎の様子をただジッと窺っていた。
キャンドーはサッと鉄格子から出ると縄に真っ直ぐ向かった。
「戻りました!」
キャンドーが戻ると、彩里水と白兎はまた死角から縄を巻き取る。
今回もこっそりと慎重に巻き取ることに成功した。
2人と3体はお互いの顔を見合わせて、初めての作戦の成功を喜び合った。
「よっし!これで縄が手に入ったな!」
「うん!みんなのお陰だ!ありがとう!」
彩里水がお礼を言うと、またキップとクップ、キャンドーは飛び上がって喜んでいた。
「さ、縄が手に入ったから、後はこの2本を結んで長さを確認したいよなー。」
白兎は目で縄の長さを確認するようにいろいろな角度から見てみる。
「だね。早速やってみよ!」
彩里水は縄を持ってサッサと窓際へ移動しようとする。
「おい、ちょっと待って。その前に!」
白兎は必死の形相で彩里水に言う。勢いに押され彩里水は思わず顔を強ばらせながら答える。
「な、何?どうしたの?」
「・・・オレのゆ・・・。」
ボソリと呟いた白兎の声が小さすぎて彩里水は聞き取れない。
「え?何?」
「オレの指だよ!もういいよな?もうパン食べて戻していいよな!?てか忘れんな!」
「あ、悪い悪い。もちろんだよ。」
――あ、そうだった。すっかり見慣れて忘れちゃってたけど、こいつ変な頭してんだった。
彩里水は苦笑いしながら白兎に言った。白兎はパンを食べ、縄を取るために長く伸ばしていた指を元通りに戻した。
「この残った食べ物一応持って行くか。」
「でもここには袋とかないよ?」
「あー、まあポケットに入る分だよな。持って行けるとしても果物ぐらいか。」
そう言って白兎はポケットに入る分だけリンゴと梨を詰める。
「パンは持って行っても水がないと指伸びたまんまになっちゃうし、水は持ち歩けないよなー。」
「まあ、とりあえず果物で水分も補給できるし水はいいんじゃない?とにかく縄の長さ確かめよ!」
つづく
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