少年彩里水の不思議冒険譚 -不思議の国の入り口45-
45 お母さん的存在なんです
キップとクップはベドとドッベの協力を得られたことをまず彩里水と白兎に報告した。
「ありがとう!出会ったばかりなのに。」
彩里水がいつもの笑顔で2人にお礼を言う。
「ありがとう。」
――いやなんか普通にベッドと喋ってベッドにお礼言ってるけど、これって普通の事だっけ?あ、何かもうよくわかんない。オレはオレがだんだん庶民的感覚じゃなくっていくのを感じている。・・・いや、これを異常事態と認識できているだけまだ庶民的感覚なのか・・・?
白兎があれこれ考えているとベドとドッベが口を開く。
「ああ、事情は聞いた。オレたちはキップとクップとは昔からずっと一緒に過ごしてきたんだ。」
「2人は昔からここを出たがってたからな。2人のこと、よろしく頼むな。」
「はい。」
彩里水と白兎が返事をすると、今度はキップとクップが話し出す。
「それで、問題はチェイスさんです。」
「・・・問題なの?」
彩里水は首をかしげる。
「も、問題というか・・・。この家具型の仲間の中ではラープンさんがみんなの先生のようなそんな存在で、ベドくんとドッベくんがお兄さん的な感じだとすると、サンクさんは親戚の陽気なおじさんのような感じ、そしてチェイスさんは・・・。」
「お母さん的な感じですー。」
「え!」
彩里水が珍しく動揺するような素振りを見せる。
――いや、冒険とお母さんは反対語だって誰かが言ってたの聞いたことあるから!お母さんはこの展開には1番まずいやつだから!あの能天気な彩里水でさえ動揺してるから!ここはオレがしっかり動揺してない感じを見せないとまたキップとクップが落ち込んじゃうよな。
「お、お母さんかぁ。なるほどぉ。そりゃあいーや!」
――え?今オレ、そりゃあ、いーや!って言った?そりゃあいーや!って何!?どうしたんだろう、オレ。もう動揺しすぎて目から汗かきそう!
おかしな様子の白兎を彩里水は無表情のまま見ながら言った。
「どうしたんだよ、白兎。」
彩里水はキップとクップを見ながら言う。
「・・・お母さん的存在かあ。そしたら協力してもらうのはなかなか厳しいかもね。」
彩里水の笑顔の中に、困ったような表情を見つけたキップとクップの顔が曇る。
「そうですよね。皆さんに作戦を言うときにきちんとこのことをお伝えするべきでした。」
「はいー。でもぉ、きちんと説明してもし協力してくれればとても頼もしい存在ですー。」
「でもお母さん的存在ってことは反対される可能性も高いんじゃない?心配するだろうし・・・。」
白兎が言うと、キップとクップは決心の揺らがない様子でキッパリと言う。
「はい。だから今回もお2人に迷惑がかかるような聞き方はしません!」
「それに、オレたちも説得するの手伝うよ。」
ベドとドッベの2人も力強くそう言ったのを聞いて、白兎は答える。
「・・・みんな、本当に会ったばっかなのにありがとう。」
「本当だね。じゃあ!みんなで協力してここから脱出するぞ!」
彩里水が小声ながら力強くかけ声をかけると、それぞれもまた小声ながら力強くそれに答えた。
つづく
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