少年彩里水の不思議冒険譚 -不思議の国の入り口60-
60 彩里水の信じること
――うっ。いやいや、だからオレがおかしいの?何だよ、その変なやつを見る目は!おまえだろ?一般庶民がオレでおかしいのがおまえだろ?
「・・・。ここからロープでも下ろしてください、とか他の場所に扉を付けてくださいって願えば出てくんのかよ。」
白兎は彩里水が何を考えているのかわからず少し不機嫌に言う。
「んー。なんて言うのかなー?でもさ、例えば、この世界に落ちてくるときにものすごい勢いで落ちてて、床ってか天井にぶつかりそうになったときも、クッションとか何かないかなって探してたんだ。」
「・・・うん。」
「でさ、そしたらランプに「私を投げて」って表示されて投げたらなんとかなったし、塔から逃げようとアレでもないコレでもないって試行錯誤してたら食べ物で身体の一部が伸びたじゃん?それからキップとクップ、キャンドーさんと出会ったりでオレたちが初めには1mmも想像しなかった方法でとにかく今ここにいるだろ?」
「・・・うん。」
「白兎はさ、すごい頭いいし、作戦とか立ててその通りやったりできるしすげえ。」
「おう。」
「で、オレはあんまそういうの得意じゃないけど、なんとなくわかるっつーか・・・。んー、なんか直感って言うの?多分大丈夫だろ、的な?あっちは行っちゃダメだろ、とかこいつはヤバそうだ、とか。そんなのが感覚的にわかる気がするんだよね。」
「ふーん?」
「で、それが言ってる。なんとかなるって。」
「なんじゃそりゃ!」
「うーん。まあつまり、魔法みたいになんでもなんとかなるって信じてるわけじゃないんだけど、まあこの世界ならそれさえも信じられるのかもだけど、そうじゃなくてさ・・・。」
「うん?」
イマイチ的を射ず、少しうんざりしながら白兎は聞き返す。
「今なら、塀を乗り越えるのが扉を開けて正面突破するより1番安全で、なんとかすりゃいけそうな方法じゃん?」
「うん、まあたしかに。」
「その方法を一生懸命模索してれば、今は思いつかない方法でも模索してる最中に、今この瞬間では絶対に思いつかなかった方法が思いつくことは全然あり得ることだろってこと!でも、さっさと諦めて探そうともしなかったら、きっと何も起こらない。気がする。少なくともオレは何もしないよりはなんかやってた方がその瞬間は落ち着いていられる。それにさ、ここは不思議の国じゃん?不思議なこと起こるだろっ!」
彩里水は満足げに白兎を見て言う。その彩里水の表情は不思議と白兎にも信じる気持ちを起こさせる。
――うまく説明はできていないし、正直言って何か解決策を湿したわけじゃないけど・・・。こいつといるとなんとかなるって気になることは確かだな。
「・・・。ははっ!できるって信じてやるしかないしな。」
ハッキリと自信満々に言い切る彩里水に、白兎も願ってたら向こうからやってくるのも一理あるという気がしてくる。
――そういや、サンクさんが「コツは信じる事」みたいなこと言ってたけど、何か今その意味がちょっとわかりかけたような・・・。
白兎が考えていると、彩里水が白兎を小声で呼んだ。
「おーい!白兎!」
つづく
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