少年彩里水の不思議冒険譚 -不思議の国の入り口65-
65 思いの強さ
地中の中でキャンドーは続ける。
「つまり彩里水くんが心の底から信じたことが叶って、今地中にいるっていうことです。」
「うーんうーん。でもさ、オレは地中に入れるなんて微塵も思ってなかったんだけど、今いるのはなんで?」
「それは、この国は思いの強い者の思いが叶うという法則が絶対的にあるからなんです。」
「つまり、オレが地中に入れないって思ってることより、彩里水がみんな地中から逃げればいいって思ってる“思い”が強かったってこと?」
「そうとも言えるし、それだけではないとも言えます。」
「ん?」
彩里水と白兎はだんだん頭が追いついていかなくなっている。
「んーと、彩里水くんは地中に入れると強く信じていたと思うんですが、白兎くんも、ここから逃げなければ、逃げ出すんだ、なんとしても逃げ出すと強く思っていたのでは?」
白兎はトランプの衛兵に追いかけられていた瞬間のことを思い出す。
「そうだ。あの時は、絶対にこの衛兵から逃げ切って、みんなに必ず会うんだ。って思ってた。」
「では彩里水くんはどうですか?白兎くんや私を地中に引き入れるとき、何を思っていました?」
「オレ?うーんとオレは・・・。」
彩里水は思い出そうと空を仰ぐ。
「そうそう、オレは、地中に入れたし早くみんなもここに連れてこなきゃって思って、そんで上見たらちょうど白兎いたから声をあげたんだけど、それは聞こえなかったみたいだから足を掴んで引っ張ろうと思ったの。そうだ!そしたら手を足で蹴られたんだった。・・・痛かったんだからなー。」
彩里水は恨めしい顔で白兎を見る。
「あ、じゃあ、あの時オレが何かに躓いた気がしたのはおまえの手だったのかよ!オレだってすっころんで痛かったわ!」
白兎も彩里水に応戦する。
「なんだよー。・・・そんで、キャンドーさんが白兎の手から落ちたから掴んでここに連れてきたの。そのあと、また今度はしっかりと白兎の足首を掴んでここに引っ張り込んだってわけ!」
彩里水は満足気に白兎を見る。
「おまえ、顔にドヤァって書いてあるぞ。おまえな、オレはな、あんときおまえもキップとクップもいなくなった上に、おまえのうわあ!って叫び声でトランプの奴らが気付いちゃって、逃げなきゃって焦って大変だったんだからな?その上キャンドーもすっ飛ばしたと思ったらいなくなっちゃうし、ドヤァじゃねんだよ。」
白兎は彩里水にすごむが彩里水は一向に気にしていない。
「なんだよー、じゃあオレが助けてあげたってことだな。」
ますます満足気に彩里水は言う。
「・・・う。まあそうとも言うかもな。」
「ありがとう、彩里水くん、だろ?」
「・・・ありがと。」
素直に白兎に礼を言われ、彩里水はキョトンとする。
「おま・・・!おまえが言えって言ったんだろー?なんだそのキョトン顔はぁ!さっきからおまえ顔で喋りすぎなんだよ!」
「だって、おまえが素直にお礼言うとかなんか変だろー?」
つづく
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