少年彩里水の不思議冒険譚 -不思議の国の入り口68-
68 地中にて
「上にさあ、塀が見えるから、そのままここを通って塀の向こう側に出ればいいよね?」
彩里水は顔を上に向け地上を見ながら言った。
「そうだな。思ったよりもめちゃくちゃ簡単に出れそうだな。オレ、縄を見つけにいってよじ登るとか、食べ物があったらそれ食べて小さくなれたりするか試してみるとかそんなこと考えてたけど、地中に入れちゃったらただ歩くだけな上に見つかる心配もないしな。彩里水に感謝だな。」
白兎は彩里水を見ながら言った。
「このまま地中を通って、庭園より外、つまり城外に出られますかね?」
ずっと彩里水のポケットの中にいたキップが皆に向かって尋ねる。
「うーん。そもそもこの庭園ってどのくらいの広さなんだろうね?」
彩里水も質問する。
「オレらがここに着いた時はメチャクチャ広い広場にドラゴンで降り立ったもんな。でもまだまだ広そうな感じはしたよなー。」
皆は頭上の塀を難なく通り抜けながら話を進める。
「まあ、庭園の外まで出られるようであればそれが1番安全でしょうね。」
キャンドーは、地中の中を珍しそうに見回しながら言う。
「まあね。なんか庭園も面白そうだったから見てみたい気もしたけど。」
「まあなー。でも今はやっぱり全員が安全にこの庭園の外に出るのがいいかもな。オレらはそのあととにかくオールワン遊園地を目指さなきゃいけないわけだしさ。」
何にでも興味津々の彩里水に今回は白兎も賛成したいが、オールワン遊園地に戻る方法がわからないことには落ち着かない。
「うううー。楽しみですね。もう僕ら庭園の外を歩いてるんですね!」
キップは外に出ることができた感動を改めてかみしめるように行った。
「まあな。地中だけどな。」
「嬉しいですー。こんな日が来るなんて、信じられないです。」
クップは目に涙を滲ませながら辺りをマジマジと見回している。
「キップクップキャンドーが外に出れたってことは、本当は外に出れるって信じてたってことでしょ?この国の法則によると。」
「はははー。確かになー。」
彩里水と白兎は3体がこの城から長年出れなかったことを少し茶化すように言う。
「でもさ、庭園の外に出るったって、庭園とその外の違いってオレらわかるのかな?従業員棟と庭園の間みたいにでっかい塀に覆われてたりすればわかりやすそうな気もするけど、城の敷地である庭園とそれ以外の場所の区別ってどう付ければいいわけ?」
彩里水はふと気付き手を顎の下に付け考えるように言う。
「確かにー。別に出るとこはどこでも言い気がするよな。とりあえずどこ行ったらいいかわかんないんだし。でも庭園から出てないのに地上に出ちゃうとまずそうな気がするよな。」
ひとまず敵から襲われることが無さそうな場所を歩いている安堵感からか、白兎は呑気に答える。
「うん。それの判別が誰もつかないってのはまずいかなあ。」
彩里水の懸念にキャンドーが答える。
「もし庭園の範囲が私の若い頃と変わりなければ、それぐらいは判別がつくかもしれません。私が若い頃は、庭園は大規模な公園といった感じでした。出入り口も先程のような頑丈な塀があるわけではなく、門があって駐在さんはいらっしゃるし開園時間も決まってはおりましたが老若男女、誰でも自由に出入りすることができていましたよ。」
「僕らもお話を聞いたことがありますー。」
キップとクップが声を揃え手答えた後、キップ続ける。
「お城を中心に円形状に広がっていますが、時にはその形を変えたり一部分だけ移動して他の地域の方たちを楽しませてくれたり、庭園さんはたくさんの要素から構成されていますが一個体となることもできて国の皆さんを楽しませる事にとても積極的だったと。」
「へえー!一個体に!?」
「すげー!なんかすごそう!」
「やっぱりおもしろいよね、不思議の国!」
「な!オレらもゆっくり探検してみたいよなー。」
「うん。」
彩里水と白兎はまたこの不思議の国の面白い一面に心引かれていた。
つづく
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