少年彩里水の不思議冒険譚 -不思議の国の入り口70-

70 地中での出会い



白兎は後頭部を両手で支えるようにしながら地上を見上げながら言う。


「なー。さっき意思の力ですぐ叶うって言ってたじゃん?ならオレらが・・・てかまあ、キップとクップとキャンドーさんは無理かも知れないけど彩里水とオレがここから瞬時に庭園の外に出たいって願えばそれも叶うってことだよね?」


「・・・ええ。そういうことです。でも、今出ていないということは、お2人とも、若しくは私たちを入れて5人共がそれは無理だと確信してしまっているのでしょう。」


キャンドーは言う。


「えー。でもオレ出たいって思ってるし彩里水もみんなも思ってるだろ?」


「ええ。出たいと思っていますが、同時に簡単には出ることができないとも思っていませんか?または、出るにはしかるべき何か方法があると思っているとか。」


「しかるべき・・・?まあ、確かになんか簡単には出れないとは思ってるなー、言われて身みると。」


「要するに今はまさにその状況が現実として反映されているんです。出たいのに出られない、出るのは簡単じゃない、という状況が。」


キャンドーは説明する。


「おお!?なるほど。ま、オレは大抵常識人だからなー。・・・でも、さっき庭園自体も形を変えるって言ってたし、今この上の部分がすでに庭園の外ってことがあり得るってことかー。彩里水おまえそういうの得意だろ?今すぐ外に出たいって念じろよー。」


「念じる?何を?」


「おまえ話し聞いてたのかよー。」


彩里水の反応に白兎は小腹を立てる。


「“念じる”と“叶う”も少し違いますね。むしろ念じてるというのは逆効果かも知れません。強く願わなければ、強い意志がなければ思いは叶わないのだと信じているようなもんです。」


「ん?んー。・・・なんだか難しいんだよな。」


白兎は肩をすくめながら答える。


「習得には少し時間がかかるかもしれません。でも君たちはお若いですから、私のように古い時代の人間より、新しいことの習得はかなり早くできるでしょうね。」


キャンドーはニコニコしながら言う。


「あ!」


彩里水が何かに気付いたように声を上げる。


「え?」


白兎は彩里水が見ている方に視線をやると、そこには人形やぬいぐるみなど玩具がたくさんいた。


「アレって人型とのミックスっぽくない?」


「え?そうか?」


白兎が答えるより早く、彩里水は集団に駆け寄って声をかけている。


「あの、すいません、ちょっと聞きたいことがあるんですが・・・。」


彩里水が声をかけると、自分たちの話に夢中になっていた玩具の集団の中で、一体の人形が振り返る。


「こんにちは。・・・あら、珍しい。人型の方ですか?迷子になっちゃったのかしら?」


リカちゃん人形のように容姿が整った人形が彩里水と白兎に答えると、玩具たちも彩里水たちに気付き会話を止め全員が彩里水たちを見定めるようにしていた。


「なんだ、おまえら。」


集団の中央から現れたのは3等身ぐらいの、リカちゃん人形よりさらに低年齢向けの子供たちのために作られているような女の子の人形だった。



つづく

妄想列島

オリジナル小説。 『少年彩里水(アリス)の不思議冒険譚』毎日配信中。

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