少年彩里水の不思議冒険譚 -不思議の国の入り口77-
77 それぞれの道へ
「・・・あの、そのことで、先程言おうと思っていたことなんですが・・・。」
先程何か言いかけたキャンドーが再び口を開く。
「そのことについても、私、リンダさんとキャシーさんに進言していただきました。この地上に出た後に彩里水くんと白兎くんが行きたいのはオールワン遊園地、そして、キップとクップが行きたいのはミラーランドですよね?」
「うん。」
「はい。」
2人と2体は声を揃えて返事をする。
キャンドーはまた、先程地下から地上へ出てきた方法と同じく、何か上手い方法で2人がなるべく簡単に目的の場所へ行くことができるように伝えようとした。
しかし、この方法はこの世界の住人であるキップとクップには通用しない方法かもしれないことと、そしてキップとクップはきっと、ミラーランドへ行く過程そのものを楽しみたいのであろうということ、世界を見る事自体が彼らの目的であるだろうと思い至った。
この2組はここで別々の道を行くのが最善であるとキャンドーは考えた。
「まずはキップ、クップ。君たちが行きたいミラーランドは私も以前行ったことがあるんだ。私はこのワンダーランドから出る船に乗って港から船でミラーランドまで旅をしたよ。それがこの国に生きる者として一番確実で安全で、そしてたくさんのものを道中見る事ができる方法だと思う。ここはワンダーランドの中心部だから港まではかなり距離がある。勿論、ドラゴンに乗ったり他の生き物に乗って旅をすることだって可能だろう。君たちの行きたい方法で行くといいよ。この森を抜ければ町などが必ずあるはずだ。私が外に出たのは随分昔だが、それはきっと今でも変わらないだろう。どんなに時代が変わっても生きている者は群れを作り、生きる場所を作り生きていくものだ。真っ直ぐに森を出て、町や村を目指し、人に尋ねて頼って目的地を探しなさい。この世界をたっぷり楽しんで。」
キャンドーが笑顔でキップとクップに告げると、2人は少しだけ表情を引き締めて「はい。」と返事をした。
「そして彩里水くん、白兎くん。2人は何よりもオールワン遊園地を目指したいということで良かったかな?」
「うん。」
彩里水と白兎はまた声を合わせる。
「それであれば、リンダさんキャシーさんからの言伝です。出たところに直径30cm程のガラス玉のようなものがあるそうです。それを探し当てて2人でそのガラス玉に触りながら行きたい場所を思い浮かべる、ということです。」
「ほおー!すげー!やっぱ思い浮かべる方式でどこにでも行けんだなー。」
白兎はしきりに感動する。
「・・・じゃあ、キップとクップとはここでお別れってことか。」
「あ・・・。」
彩里水の言葉で白兎とキップとクップは自分たちとはもう2度と会わないかもしれないという別れの時が来たことに気がつく。
「・・・僕。僕、とても短い間でしたが、皆さんのこととてもとても好きになりました。」
キップは声を震わせている。
「おいキップー。まぁた泣くのかよー。すぐ泣くなぁ。」
そう言った白兎の声もなんとなく覇気がない。
「そうですねー。お別れですねー。もっとたくさん皆さんと過ごしたいですがぁ、それぞれ行きたい場所が違うんですねー。一緒には・・・行けないんですよねー。」
クップはまた自分の気持ちに素直に涙を流しながら伝える。
「・・・うん。2人ともホントありがとう。2人がいなかったら脱走できてなかったかもね。ま、もう一生会えないって決まってるわけじゃないじゃん?会えるって思ってればこの国の法則的には会えるわけだしね!」
彩里水は笑顔で言う。
「・・・まあな!会おうぜ!また。」
彩里水につられ白兎も笑顔を取り戻す。
泣いていたキップとクップもズルッと鼻水をすすると「はい!」と大きな声で答えた。
つづく
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