少年彩里水の不思議冒険譚 -不思議の国の入り口81-
81 夢と現実の狭間で
――え?ここどこ?
彩里水は周囲を見回す。
すると、すぐそばから陽気な音楽とアナウンスが聞こえてきた。
――ここ・・・オールワン遊園地のとこの雑木林?え?・・・てことは、いままでのは・・・夢?
少しの間呆然としていた彩里水だが、ハッと我に返る。
――やば!今何時!?
彩里水は急いで園内に戻る。
園内に戻ると、両親がグッタリしていたはずのカフェに向かう。
そこには相変わらずグッタリした様子の両親がいた。
「彩里水。何処行ってたの?トイレ?ちゃんと行き先を言わなきゃダメじゃない。」
母親に小言を言われてこんなに嬉しかったことはない、と彩里水は思っていた。
長い長い夢を見ていたと思ったが、どうやらせいぜい十数分しか経っていない様子だ。
――やっぱり、夢だったのか。そりゃ、夢じゃなきゃおかしいよな。でも夢にしてはすっごい現実っぽかった。何だったの?ジョーカーとか。それに・・・。
彩里水は白兎のことを思い出した。
――夢ってことは・・・アイツも・・・?・・・夢?そうは思えないし、思いたくない。・・・もう会えないってこと?
ボーッとしている彩里水に両親は顔を見合わせ怪訝な顔をする。
「どうした、彩里水。お前も乗り物に酔っちゃったのか?今日はもう帰る?そろそろ夕方だし。」
父親に声をかけられ、彩里水は我に返る。
「あー・・・。うん、酔ってはないけど、今日はもういいや。父さんと母さんグッタリだしね。」
両親はさらに怪訝な顔になり、お互いの顔を険しい顔で見つめ合う。
「お前が帰るっていうなんて、どうしたんだよ。酔ってないけど具合が悪いのか?」
「もしかしてお腹空いてる?」
両親が心配しているが、帰りたい理由を彩里水は説明したくない。それに、説明のしようもないとも思った。
――適当に話を合わせるか。
「あ、うん。・・・お腹空いた!オレ、ハンバーグ食べたい!」
今度はお互いの顔を見てプッと吹き出した両親は心配して損したといわんばかりにゲラゲラと笑い出す。
「やっぱりお前はお前だな、彩里水。じゃあ、どっかでハンバーグ食べて帰ろう!」
「やったー!」
そう言って帰路につこうとする両親の後ろを歩きながら、彩里水はもう一度あの雑木林に目をやる。
「白兎・・・。」
つづく
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