少年彩里水の不思議冒険譚 -不思議の国の入り口63-
63 転んだ先は
――転ぶ!
思わず目を瞑った白兎だが、先程のように固い地面に身体を打ち付ける感覚もなかった。
不思議に思い目を開け、その次の瞬間に何者かに足を掴まれている感触に気付いた。ゾッとしながら足元を見る。
白兎は足を掴んでいる者を確認して声をあげる。
「彩里水!」
「よ。白兎。」
「お!おま・・・、おまえ・・・!」
白兎は驚きすぎて言葉にならない。
「お、おまえかよ!ひ、人の足掴むとかなんだよ!恐怖でしかねーよ!」
「いや、ごめんごめん。だってこれしか思いつかなかったんだもん。」
「ってか、ここどこ!?」
白兎は安心した途端に自分がトランプの6に追われていたことを思い出す。
「オレ追われてたはず!ってか、ここどこ!?ってかキャンドーは!?」
「私はここですよ。」
1人で疑問いっぱいの白兎に返事をしたのはキャンドーだった。
「あれ!?いる!なんで!?どういうこと!?ここどこ!?」
白兎は興奮が収まらず質問し続ける。
「どうやら、私も彩里水さんに引っ張られてここに来たようなんです。」
キャンドーは彩里水を見る。
「オレもよくわかんないんだけど、蟻を見てたんだ。蟻の行列を。」
「は!?だから、は!?」
白兎はまた勢いよく彩里水の謎の行動に突っ込む。
「蟻の行列を見て、蟻の行列に混ざればどこまでもいけるかなあ~なんて考えてたら、なんかグイッと地面に引き込まれるような感覚がしたんだ。んで、慌てて身体を起こそうとしたんだけど、そのまま頭から地面に突っ込んだと思ったら、多分、地面の中に入ってたんだよね。」
「・・・へ?」
白兎は彩里水の説明に間抜けな声で答える。
「上見て?」
そう言って彩里水が上を向くと、白兎もつられて上を見上げる。
上を見ると、先程白兎を追ってきたトランプの6たちが向きを変え、白兎を追ってきていたときよりも歩速を緩め戻っていく姿が見える。
「うそ・・・。」
白兎は呆然と呟く。
「ね。多分地中でしょ?さっきの蟻さんたちもいるんだ。」
彩里水はさきほどの蟻の行列の続きを見つけ手を振る。何匹かの蟻が手を振り返していた。
「え?地中ってこんな風に入れるもんだっけ?見上げたら透けて上が見えるもんだっけ?」
また白兎がワーワーと疑問を立て続けに口にするのを無視して彩里水は続ける。
「オレとしては、オレがこのまま蟻について地面に潜ったらそのまま塀の外に出られるなあ~って思ったからそうなったと思ってる!」
フンッと鼻息荒くドヤ顔で腕組みをしながら言う彩里水を見て、キャンドーはフム、と納得したように口を開く。
「そうです。この不思議の国というのはそういうところなんですよ。」
つづく
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