少年彩里水の不思議冒険譚 -不思議の国の入り口18-
18 ジョーカーと双子
彼が現れると、双子は今まで見せなかったような明らかにと狼狽した様子見せた。それは一瞬だったが、彩里水はこの者の異様な雰囲気と共にそれも感じ取っていた。
双子は狼狽した様子を隠すようにしながら答える。
「やあ、君もここにいるなんて珍しいじゃないか、ジョーカー。」
「そうだね。こんなところで何を?」
双子が連れている彩里水と白兎を興味深げに見つめながら、そのジョーカーと呼ばれた者は質問自体には興味がなさげに答える。
「別に、特に何も。」
ジョーカーは彩里水にくっつきそうな程顔を近づけマジマジと観察をする。観察されながら彩里水は思う。
――す、すごく、変な人っぽい!こ、これは白兎以上かもっ!
すると、ジョーカーは、顎に手をやりながら彩里水に向かって独り言のように小さく呟く。
「ふむ。君はすごく変な子っぽいよね。」
――え?自分の方が変そうなのに!
この見た目からして風変わりな男にそう言われ、彩里水は少しショックを受ける。
ジョーカーが彼らに興味を示すことを避けたいかのように、双子が口を開く。
「ど、どうしてそんなに彼を見つめているのかな?」
「き、君が興味を持つなんて珍しいね、ジョーカー。」
ジョーカーは彩里水を一通り観察すると、質問が聞こえなかった様子で今度は白兎を観察する。
ジョーカーは白兎にくっつきそうな程顔を近づけマジマジと観察をする。観察されながら白兎は思う。
――え?何?オレ今、おじさんに顔を信じられないほど近づけられてる?・・・こいつ、絶対やばい!
すると、ジョーカーは、顎に手をやりながら今度は白兎に向かって独り言のように小さく呟く。
「君はモテキャラかな?食べちゃいたいねえ。」
舌舐めずりをしながら白兎を観察するジョーカーに、白兎は悪寒が止まらない。
――やだ何!?怖い!・・・オレまだ小学生なのに!何でオレだけ?オレが人よりちょっとばかり可愛いピチピチの9歳だから!?何がキモいって絶対に悦に入りきってる感じが本当にイヤ!!
ジョーカーは2人を一通り観察し終えると、何かに納得したような表情をする。と言っても顔は隠れてほとんど見えない上に口は常に笑みを全開に浮かべているような形だ。
双子の方を向き直し、元々笑みを浮かべた口端をさらにギュウッと引き上げてジョーカーは言った。
「そうだね、彼らに興味があるよ。僕にくれないかなあ?」
――いやいや、だからキモいってぇ!コッチのおっさんよりもまだ双子の方がまだマシだ!双子がんばれ!
白兎に心の中で応援されているとは露ほども知らない双子の表情は、またしてもほんの一瞬凍り付く。しかしすぐにもとのニヤけた2人に戻ると答えた。
「これは僕らのお気に入りなんだ。君にはあげられないよ。」
「そうだね。君にはあげられない。」
――いいぞ、双子!がんばれ!
白兎は心の中で応援を続ける。
ジョーカーは笑んだ唇を緩める。
「・・・ふうん。・・・でも、さっき幽閉って言葉が聞こえてきたよ。幽閉するなら僕にくれてもいいじゃない。」
「いいや。幽閉なんかしないよ。僕らのコレクションに加えるんだ。」
「そうだね。それとも、そうだとしてもそんなに彼らが欲しい理由でもあるの?」
――コレクション!?なんだ!?コッチもコッチで結局やべえ!やっぱりやべぇやつばっかじゃーん!
白兎は心の中で叫び声をあげながら彩里水の方をうかがい見るが、彩里水はポカンと行方を見守っているだけのように見える。
――彩里水のやつ!なんでそんなに能天気なんだよー!初めて会ったときからそうだってわかってたけど!オレだけ?オレだけが普通?オレだけが庶民的感覚!?
ジョーカーは双子を交互にジッと見つめたあと、再び口端をギュウッとあげて一言
「・・・それならいいや。」
と言い、去って行った。
ジョーカーが去ると同時に、風船状態だった彩里水と白兎は縛られたままの状態で自分に体重が戻ってくるあの感覚と共に急にドサッと城の冷たい床に叩きつけられる。
「いってぇ・・・。」
「急に落とすとかどんだけだよ・・・。」
彩里水たちが痛がっているのを気にも止めず、双子は
「じゃ、後はよろしく。」
とキングに言い残しどこかへ行ってしまった。
つづく
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