少年彩里水の不思議冒険譚 -不思議の国の入り口27-
27 作戦会議!2
「んじゃ、次の質問いいか?オレたち、ここに何で連れてこられたのかもわかんないんだけど、とにかくなるべく早くここから脱出したいんだ。それで、あそこに落ちてる縄をあの窓から下げて下まで行こうと思ってる。」
「へえー。面白そうですー。」
今度はクップが答える。
「それで、あの見張りのトランプたちにバレないようにあの縄を取りたいんだけど、あのトランプたちがいなくなる時ってないのか?」
「うーん。以前ここに連れてこられた方がいらっしゃったのはすごくすごーく前なんです。その時もトランプの兵士たちが見張っていたんですが、見張りが交代する時間はあります。でも、もちろん交代の見張りがここに来てから今までいた見張りが帰っていくので・・・。」
「つまり、見張りがいなくなる時はないってことか。」
キップは白兎にそう言われ、またシュンとしてしまう。
「いや、おまえのせいじゃないんだから落ち込むなよ。」
また笑顔を作りながら白兎はキップを励ます。
――可愛らしいコップをオレがいじめてるような気がしてくるからヤメテッ!
「でも、僕たちちっともお役に立てません・・・。」
キップが泣きそうになっているとクップがキップの体にヨシヨシと寄り添うようにして慰める。
――おおっ。なんか慰め合ってるぞ。オ、オレが悪いのか?悪者か?
白兎が作った笑顔の上に冷や汗をかきそうになっていると、彩里水が口を開く。
「見張りが交代するってことがわかっただけでもありがたいよ。ありがとう、キップ。」
彩里水がまた慰めるとキップは少し顔を上げる。
「はい。」
――っく!彩里水のやつ!天然だけにすぐ打ち解けるな・・・。これでオレだけがコップをいじめる悪者か・・・。
遠くを見つめながら白兎は続ける。
「もし脱出するならやっぱり人目につきにくい夜がいい気がするんだよな。」
「・・・どうして夜の方が人目につきにくいのですか?」
キップが尋ねる。
「え?だって、昼間は明るいから誰の目にもつきやすいだろ?」
「確かに人型の人は夜目が利きにくいかもしれませんが、夜は夜行性の型にとっては動きやすい時間ですよ?」
「そうか、ここは人だけがいる世界じゃないから人獣型で夜行性の動物とミックスされてたら、オレたちは見えにくい分、逆に不利なのか。はあっ。つくづくオレたちの常識って小さいんだなー。」
ぼやくように言う白兎にキップはまた慌てて弁解する。
「あ、すいません!また役に立たないこと言っちゃいましたか?」
「あ、違う違う。今の情報は完全に気付いてなかったからすごい役立つよ。そうじゃなくて、オレが考えてる常識なんて、すんごい狭い視野での常識なんだなってキップの言葉で気付かされたんだ。ありがとう、キップとクップ。」
ニッと笑いながら白兎が言うと、キップとクップは顔を見合わせて喜んだ。
「で、ってことは夜に動くより太陽が出てる間の方がいいかもってことだな!」
「だね!」
「・・・それから、ここを出た先のことも少し考えておきたいよな。一端作戦を整理してみようぜ。」
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